『クジラと泳ぐ』

『クジラと泳ぐ ダスカロスと真理の探究者、その教えと実践』 ダニエル・ジョセフ (著), 鈴木真佐子 (翻訳)

 

この本は凄すぎました。かつて現実に生きていた人についての本だけれど、まるでハヤカワ書房から出た良く出来たSFでも読んでいるかのような気持ちになりました。翻訳も素晴らしいと思いました。

 

2016年に出版されているのに、なぜ、もっと早く読まなかったのだろう…と思いましたが、何と言ってもダスカロスは独自の概念と用語が難しく、本の厚さも尋常ではなく(459ページ)、勿論価格も安くはなく、電子書籍版もなかった‥。

 

書店で目にしても手にとることさえしなかったのですが、先日パラパラとめくってみて、あまりにも面白そうだったので奮発しました。

 

ダスカロス(スティリアノス・アテシュリス)というと、彼自身による著作よりも、キリアコス・C・マルキデスによるルポルタージュ『メッセンジャー ストロヴォロスの賢者への道』のほうが読みやすく、また有名だったりします。

 

でも『メッセンジャー』に登場するダスカロスは、彼があまりにも凄い能力を持つため、描写にちょっと見世物小屋的な、私達の興味をいたずらにかきたてるような雰囲気があったように感じるのです。

 

おそらくそれはキリアコス・C・マルキデスにとってダスカロスは観察の対象であり、「師」ではないからだと思います。

私はそのように感じました。

 

ですがダスカロスのもとで学び続けたダニエル・ジョセフによるこの本は、彼の「師」への深い愛情と敬意が一文一文から伝わってきて、読んでいてとても幸せな気持ちになります。

 

またダスカロスの生前の姿の描写もふんだんに織り込まれ、質の高い『メッセンジャー』的な要素と、ダスカロスの独自の教えやエクササイズも数多く説明・紹介され、ほんとに「まずはこの一冊から」と言ってもいいような内容でした。

 

今、ダスカロス自身による『エソテリック・ティーチング』『エソテリック・プラクティス』は絶版のようですが、そちらはナチュラルスピリット社が復刻版を出してくれるのを待って、高値になっている中古本を買うよりも、こちらを買うほうが個人的には良いように思います。


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