天使の階級~天使の九階級について

天使学においては、天使が九階級に分けられます。九階級が三階級ずつ3つのグループに分かれた構造と考えてください。

天使の九階級は、セラフィムとケルビムに関する聖書の記述が基本となっています。

5世紀の神学者、偽ディオニュシスが聖書に記された天使の階級に関する考察を深め、さらにジョン・ミルトンが『失楽園』を発表して以降、天使の階級は9つで一般化しました。


セラフィム(熾天使)

最上階級に属する天使で、神に最も近い場所にいるため、まばゆい光で包まれています。セラフィムは、純粋な光の存在です。

偽ディオニュシスの天使の階層では、神に最も近い最高位にいる天使。「熾(し)天使」という名前は「燃える」「焼却する」「破壊する」という意味のヘブライ語の動詞“saraf”から来ています。熾天使の名前は新約聖書では出てきませんが神の愛を象徴する創造物で、愛の火を象徴し神の玉座近くに留まっていると考えられています。熾天使は愛のエネルギーを確実につくり、そこから生命の場が生み出されます。人間が愛の炎を完璧に燃やす手伝いをし、すべての人を清め、暗黒を追い払うと考えられています。


ケルビム(智天使)

ケルビム(智天使)

カトリックの伝統的な信仰では二番目に位が高いとされています。語源は定かではないもののヘブライ語の「Cherub」は「知恵に満ちた」「仲裁する」という意味を持っています。

 

偽ディオニュシスによると智天使達は「聖なる計画」を実行するために遂行されるべき事項を考え出すとされています。伝承によると智天使達は神に仕える記録係と考えられています。

 

智天使はヘブライ語の聖書で91回その名が取り上げられています。エゼキエル書ではケルビムは神の玉座の運搬人であり、4つの顔と4つの羽を持つ姿で描かれています。かつては翼の生えたライオンの姿に人間の顔を持つなど不気味な姿で描かれることも多かった天使ですが、現代ではクリスマスカードに描かれるようなぽっちゃりした子どもの天使の姿で描かれることが多く、キューピッドにも似ています。


スローン(座天使)

セラフィムとケルビムにスローンを加えた上位三級の天使は、天界の中で最も高い場所にいます。スローンは物質世界と精神世界をつなぐ橋となり、神の公正さと正義を体現する天使とされています。彼らの職務は神の決定の配剤を考えることです。燃え盛る車輪の姿で描かれることが多く、これは預言者エゼキエルが紀元前580年頃に視た彼らの姿が原型となっているためです。エゼキエルは、火のなかに人間のような、それぞれが4つの顔を持ち、4つの翼、人間の手を持つ存在、そして緑で覆われた4つの輝く車輪を使うさまを視たと言っています。


ドミニオン(主天使)

カトリック教会の伝統信仰において、天使の九階級では4番目の位に位置する天使です。彼らは天国の行政官であり、さまざまな命令を下す立場にあります。彼らは神の意志の実現のためには何がなされなければならないかを決定し、日々の森羅万象に関わる命令もつかさどっていると考えられています。

ドミニオンは、九階級の第二グループでは最高位の天使です。神の意志に従いながら、下位の天使達を監督します。


ヴァーチュー(力天使)

カトリック教会の伝統信仰による天使九階級のうち、5番目の位に位置する天使です。彼らは神の力を引き出して地上界に奇跡を起こします。また、パワー(能天使)と協力して太陽や月、地球を含む惑星の動きを司ります。ヴァーチューは物質世界の秩序を守り、高尚な目的達成のために難局に直面している善人の勇気を強固なものにしてくれると考えられています。


パワー(能天使)

カトリック教会の伝統信仰による天使九階級のうち6番目の位に位置する天使です。パワーという名前が示すとおり、神羅万象に生まれる低いエネルギーを浄化する力を宿します。自然界の法則が正しく働き続けていくように手助けをしています。偽ディオニュシスによると世界を支配しようとする悪魔に能天使が対抗するのだそうです。


プリンシパリティ(権天使)

カトリック教会の伝統信仰による天使九階級のうち7番目の位に位置する天使です。最後のグループには、物質世界に近い天使たちが属します。第三グループの最高位にいるプリンシパリティは、神の意志に従いながら都市や国、そして地球全体を見守ります。k国や、教皇など指導的立場にある人を守ります。善霊を悪霊から守るという役目も担っています。


アークエンジェル(大天使)

大天使の役割は、人類と守護天使を見守ることです。また、大天使ガブリエルがマリアにイエスの母となることを伝えたように、重要な神からの啓示を人類に伝えます。それぞれの大天使に、神の資質を宿した得意分野があります。

 

大天使達の中でも最もよく知られているのが四大天使(ミカエル、ラファエル、ガブリエル、ウリエル)です。この四大天使に三体の大天使を加えた七大天使という捉え方もあるようです。どの大天使が加わるかは、教派や聖典によって異なります。

 

15の大天使について説明したページを作っていますので、興味のある方はスクロール&リンクボタンからどうぞ。


ガーディアンエンジェル(守護天使)

天使九階級のなかでは最も低い地位にありますが、私達一人ひとりの人間に守護天使がついていて、肉体を持って物質世界を生きている間ずっと見守ってくれると考えられています。彼らは天使の基本能力~守護、メッセンジャー、ヒーラーの能力を持ち、それぞれの魂のサポートをしています。ローマ・カトリックにおける守護天使の祝日は10月2日となっています。


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